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1,000万円の即時償却で実際いくら節税できる?【2026年シミュレーション】

この記事の結論

1,000万円のGPUサーバーを即時償却した場合の節税額を法人税率別にシミュレーション。中小法人の法人税率15%・23.2%なら150万円・232万円、所得税率33%の個人なら330万円(いずれも地方税を含まない単純計算で、即時償却は課税の繰延べ)。計算例と前提条件を明示。

本記事は国税庁の公式情報(2026年9月16日時点)にもとづいて作成しています。税制の適用可否・実際の税額は、事業の実態や課税所得の水準によって個々に異なります。実際の投資判断・税務処理は必ず顧問税理士にご確認ください。

1,000万円投資の節税額を計算する前に確認しておきたいこと

本記事は「1,000万円を投資すれば必ずこれだけ得をする」という試算ではありません。以下の3点を前提として読んでください。

  • ここで計算するのは、中小企業経営強化税制(A類型)による即時償却が当期の税負担をどれだけ軽減するかだけです。GPUサーバーの運用によって将来どれだけの収益が得られるか、数年後にいくらで売却できるかは、契約内容・稼働率・市況によって大きく変わるため、本記事では扱いません。
  • 即時償却は税負担を最終的に減らす制度ではなく、損金算入の時期を早める「課税の繰延べ」です(後述します)。
  • GPUサーバーをデータセンター事業者などに預けて運用を任せる形態は、契約の実態によっては制度の対象外になり得ます(後述します)。

以下では、「1,000万円投資すると150万〜232万円の節税になる」「200万円でも節税できる」といった数字がどの公式資料にもとづき、どのような前提を置いた計算なのかを、国税庁のタックスアンサー(よくある税の質問)を出典として示します。

中小企業経営強化税制A類型(即時償却)の仕組み

「即時償却」と呼ばれる制度は、正式には中小企業経営強化税制のA類型(生産性向上設備)です。国税庁のタックスアンサーNo.5434「中小企業経営強化税制」(令和7年4月1日現在法令等)によると、A類型の特別償却限度額は「その取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額」とされています。取得した事業年度にすでに普通償却分は経費にできるため、残りの部分もあわせて初年度に全額を損金算入できることから「100%即時償却」と呼ばれています(特別償却に代えて、取得価額の7パーセント(特定中小企業者等は10パーセント)の税額控除を選ぶこともできます)。

対象となる資産には、区分ごとに最低取得価額の基準があります。

資産の区分最低取得価額の基準
機械および装置1台または1基の取得価額が160万円以上
工具、器具および備品1台または1基の取得価額が40万円以上(令和8年4月1日以後に取得等をするもの。同日前に取得等をしたものは30万円以上。財務省「令和8年度 税制改正の解説」)
建物およびその附属設備一の取得価額が1,000万円以上(附属設備単独は60万円以上)
ソフトウエア一の取得価額が70万円以上

GPUサーバーが機械および装置と工具、器具および備品のどちらに当たるかは設備の実態によりますが、そのどちらでも200万円あれば最低ラインを満たします(建物およびその附属設備は1,000万円以上)。制度全体の要件・申請手順は100%即時償却とは(当サイト内記事)と中小企業経営強化税制A類型とは(当サイト内記事)で詳しく解説しています。

GPUサーバーを預ける・貸すスキームは対象外になり得ます

国税庁のタックスアンサーNo.5434は「対象者または対象物」の項目で、「ただし、貸付けの用に供する資産は、特定経営力向上設備等には該当しません」と明記しています(注3)。

GPUサーバー投資として紹介されるスキームには、投資家(中小企業者等)が設備を取得したうえで、データセンター事業者や運用会社に設備を預け、運用を任せて収益の分配を受ける形をとるものがあります。契約の実態が、投資家自身が指定事業の用に供しているのではなく実質的に第三者へ貸し付けていると評価される場合、その設備は上記の「貸付けの用に供する資産」に該当し、A類型(特別償却・税額控除のいずれも)の対象外となる可能性があります。

該当するかどうかは契約の内容と実態による個別の判断で、どのような事情で判断されるかを示した記載は、国税庁・中小企業庁の公表資料には見当たりません(2026年10月2日確認)。本記事はこの判定を一律に行うものではありません。データセンターへの預託・第三者運用スキームの考え方はGPUサーバーをデータセンターに預ける場合の即時償却可否(当サイト内記事)、資金調達スキームのリスクは「自己資金20%+無利息貸付80%」スキームのリスク(当サイト内記事)もあわせてご確認ください。契約前に、その契約が「貸付けの用に供する資産」に該当しないかを必ず税理士・認定経営革新等支援機関に確認してください。

即時償却は「節税」ではなく「課税の繰延べ」です

即時償却は、本来複数年に分けて経費化する減価償却費を、取得した事業年度に全額計上できる制度です。ただし、耐用年数にわたって普通に償却した場合でも、最終的に損金算入できる金額の合計(取得価額)は変わりません。つまり即時償却によって税負担の総額が減るわけではなく、当期の税負担を将来の事業年度に先送りしているにすぎません。

初年度に大きく利益を圧縮できる分、その年の資金繰りには効果がありますが、翌期以降は通常より償却費が少ない状態になるため、その分の利益・税負担は将来の期に戻ってきます。将来の利益水準や税率が変われば、繰り延べた税負担の実際の金額も変わります。この考え方にもとづく計算例は償却後収益の計算方法(当サイト内記事)で解説しています。

1,000万円投資した場合の試算(国税庁公式税率ベース)

以下は、1,000万円分の設備を即時償却できたと仮定し、国税庁が公表する税率だけを使って当期の税負担軽減額を計算した一例です。法人住民税・法人事業税・個人住民税などの地方税は含んでいません。また、即時償却により生じる差額(追加の損金算入額)がどの税率区分に該当するかは、その事業年度の課税所得の水準によって変わります。

前提条件適用される税率(出典)1,000万円の即時償却による当期の税負担軽減額(一例)
資本金1億円以下の法人で、即時償却後も課税所得が年800万円を超える水準にある場合23.2%(法人税・No.5759)1,000万円×23.2%=232万円
資本金1億円以下の法人(適用除外事業者を除く)で、即時償却による差額が年800万円以下の部分に収まる場合15%(法人税・No.5759)1,000万円×15%=150万円
個人事業主(青色申告)で、課税される所得金額が900万円から1,799万9千円までの部分に該当する場合33%(所得税・No.2260速算表)1,000万円×33%=330万円
個人事業主(青色申告)で、課税される所得金額が695万円から899万9千円までの部分に該当する場合23%(所得税・No.2260速算表)1,000万円×23%=230万円

上の表は、それぞれの税率をそのまま1,000万円に掛けただけの単純計算です。実際の所得税額は速算表の控除額を用いて課税所得全体から計算するため、今回のような差額部分だけに税率を掛ける方法とは前提が異なります。所得控除・税額控除の有無、事業年度内の他の損益によっても軽減額は変わります。この表は前提を置いた計算例であり、実際の節税額を保証するものではありません。ご自身の課税所得・適用税率区分は、決算書・確定申告書の内容をもとに顧問税理士にご確認ください。

200万円の投資でも対象になる?いくら軽減されるか

中小企業経営強化税制A類型の対象となる機械および装置は、1台または1基の取得価額が160万円以上であることが要件です(工具・器具・備品は、令和8年4月1日以後に取得等をするものは40万円以上、同日前に取得等をしたものは30万円以上。No.5434〈令和7年4月1日現在法令等〉の注2は改正前の30万円、財務省「令和8年度 税制改正の解説」)。GPUサーバーがどちらの区分に当たるかは設備の実態によりますが、200万円の投資額であれば、いずれの最低ラインも満たします。

前提条件適用される税率(出典)200万円の即時償却による当期の税負担軽減額(一例)
法人税率23.2%が適用される部分に該当する場合23.2%(法人税・No.5759)200万円×23.2%≈46万円
法人税率15%が適用される部分に該当する場合15%(法人税・No.5759)200万円×15%=30万円
所得税率33%が適用される部分に該当する場合33%(所得税・No.2260速算表)200万円×33%≈66万円

1,000万円のケースと同様、この試算も地方税を含まない単純計算であり、実際の軽減額を保証するものではありません。少額の投資でも、経営力向上計画の認定手続きや工業会証明書の取得といった事務負担は1,000万円のケースと変わらないため、事務コストに見合うかどうかも判断材料になります。

投資を決める前に税理士に確認したいこと

ここまでの内容から、契約前に確認しておくべき点を整理すると次のとおりです。

  • 取得しようとしている契約形態が「貸付けの用に供する資産」に該当しないか
  • 経営力向上計画の認定を設備の取得前に受けられる見込みか(計画申請前に設備を取得する場合は、取得日から60日以内に申請書が行政庁に到達し、その事業年度内に認定を受けなければ適用できません。中小企業庁「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き」)
  • 自社が中小企業者等の要件(資本金の額、適用除外事業者に当たらないか等)を満たすか
  • 即時償却により生じる差額が、実際にはどの税率区分に該当するか(地方税を含めた実質負担の試算)

これらの確認項目はGPUサーバー投資、契約前に税理士確認すべきポイント(当サイト内記事)でも解説しています。

出典・参考情報

最終更新日: 2026年9月16日。制度の内容・税率・適用期限は変更される場合があります。必ず各公式サイトで最新情報を確認し、実際の適用可否・税額の試算は顧問税理士にご相談ください。本記事は特定の投資商品・サービスの利回りや将来の収益性を保証するものではありません。

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